頭痛は種類によって対処法が異なる

頭痛男性

あなたの頭痛はどのタイプ?慢性頭痛と急性頭痛の違い

誰もが一度は経験する「頭痛」。
しかし、一口に頭痛と言っても、その原因や症状、そして対処法は多種多様です。
もし間違った対処法は、かえって症状を悪化させてしまうこともあります。

頭痛には大きく分けて2つのタイプがあります。

急性頭痛(症候性頭痛)
突然起こる激しい頭痛で、くも膜下出血や脳出血など、命に関わる病気が隠れている可能性があります。
このような頭痛は緊急性が高く、一刻も早く医療機関を受診する必要があります。

慢性頭痛(機能性頭痛)
多くの人が日常的に経験するのは、この慢性的な頭痛です。
年間を通して同じような症状が繰り返し起こるのが特徴で、命に別状はないものの、生活の質を著しく低下させる可能性があります。

日本人に多い慢性頭痛の3つのタイプ

慢性頭痛は、頭蓋骨の内外にある血管、筋肉、神経への刺激によって引き起こされます。
何が原因で頭痛が起きているかによって、最適な対処法が異なります。
温めるべきか、冷やすべきか、行動は控えるべきか、動かすべきか…。
頭痛の種類を正しく見極めることが非常に重要です。

代表的な慢性頭痛には、「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」の3つがあります。

頭痛女性
片頭痛:脈打つような痛みの正体と対策
片頭痛は、日本人の約8.4%が悩んでいるとされる頭痛で女性に多く見られます。

主な原因
脳の血管が何らかの刺激(ストレス、疲労、特定の食べ物など)によって拡張し、その周囲の神経を刺激することで起こると考えられています。

主な症状
月に数回、頭痛を繰り返し、数時間~長くて3日程度続く。
片側、もしくは両側のこめかみから目のあたりが「ズキンズキン」と脈を打つように痛むのが最大の特徴。
吐き気や嘔吐を伴うことがある。
光や音、においに非常に敏感になる。
身体を動かすと痛みが強くなる(階段の昇降や軽い運動でも悪化)。

正しい対処法
冷やす
血管の拡張が原因なので、痛む部分を冷たいタオルや冷却シートで冷やすと、血管が収縮し痛みが和らぎます。
安静にする
動くと痛みが悪化するので、暗く静かな場所で横になって安静にするのが最も効果的です。

避けるべきこと
痛みがある時に温めたり、マッサージをしたり、運動をしたりすると、血行が促進され血管がさらに拡張し、痛みが強まってしまいます。
カフェインの摂りすぎも悪化の原因になることがあります。
緊張型頭痛:肩こりからくる重い痛みの対処法
緊張型頭痛は、頭痛の中でも最も一般的なタイプで、多くの人が経験していると言われています。

主な原因
首や肩、後頭部の筋肉が長時間緊張することで、血行が悪くなり、血管内に老廃物(代謝産物)が溜まり、それが神経を刺激して痛みを引き起こします。
ストレス、長時間同じ姿勢でのデスクワーク、眼精疲労などが主な原因です。

主な症状
ほぼ毎日、同じような痛みが続くことがある。
頭全体、後頭部、首筋にかけて「重い」「締め付けられるような」「圧迫されるような」鈍い痛みが特徴。
動くと痛みが少し楽になることがある。
めまいや肩こり、首のこりを伴うことも多い。

正しい対処法
温める
血行不良が原因なので、温かいタオルや入浴で首や肩を温めると、筋肉の緊張がほぐれて痛みが和らぎます。

身体を動かす
軽いストレッチやウォーキングなど、
適度な運動で血行を促進すると効果的です。
特にデスクワークなどで長時間同じ姿勢を取る場合は、こまめに休憩を取り、身体を動かすだけでも予防になります。

マッサージ
筋肉の緊張をほぐす為に、首や肩のマッサージも有効です。

姿勢の改善
日常生活での姿勢を見直し、猫背などを改善することも予防に繋がります。
群発頭痛:目の奥の激痛、見逃さないで
群発頭痛は、他の頭痛に比べて稀ですが、その痛みは「想像を絶する激痛」と表現されるほど強烈です。
男性に多く見られます。

主な原因
脳の視床下部という部分が何らかの原因で刺激を受けることが関係していると考えられています。
これにより、頭部の三叉神経に痛みが生じるとされています。
喫煙や飲酒が誘発因子となることが多いです。

主な症状
1~2ヶ月間、ほぼ毎日、決まった時間(特に睡眠中や明け方)に1~2時間続く激しい痛みが特徴。
片方の目の奥がえぐられるように痛むのが典型的。
あまりの激痛の為、じっとしていられないほどで、身体を動かさずにはいられない。
痛む側の目が充血し、涙や鼻水が出る、まぶたが下がる、顔が赤くなるなどの症状を伴う。

正しい対処法
医療機関を受診する
このタイプの頭痛は、市販薬では対応が難しく、専門医による診断と適切な治療が不可欠です。
痛みが強烈で目の奥が充血している場合は、ためらわずに神経内科や頭痛外来を受診しましょう。

酸素吸入
医療機関で提供される酸素吸入が、発作時の痛みを和らげるのに有効な場合があります。

知っておきたい!頭痛の正しい見極め方と危険なサイン

頭痛は、多くの場合が慢性頭痛ですが、中には重大な病気が隠れている場合もあります。
特に以下の症状が現れた場合は、ためらわずに救急車を呼ぶか、すぐに医療機関を受診してください。

  • これまで経験したことのない、突然の激しい頭痛(「バットで殴られたような」と表現されることも)
  • 麻痺、しびれ、ろれつが回らない、意識障害などを伴う頭痛高熱や首の硬直を伴う頭痛
  • 頭を強くぶつけた後の頭痛
  • 日に日に悪化していく頭痛手足の脱力感や視野の異常を伴う頭痛
  • 癌の既往歴がある方の頭痛

これらの症状は、くも膜下出血、脳出血、髄膜炎、脳腫瘍などの重篤な疾患のサインである可能性があります。

まとめ:正しい知識で頭痛に悩まされない毎日へ

頭痛は、私たちの日常生活の質を大きく左右する不快な症状です。
しかし、自分の頭痛がどのタイプかを知り、それぞれの原因と正しい対処法を理解することで、その痛みを和らげ、予防に繋げることができます。

もし頭痛が慢性的に続いているのであれば、この記事を参考に、まずはご自身の頭痛が「片頭痛」なのか「緊張型頭痛」なのか、それとも稀な「群発頭痛」なのかを見極めてみてください。
そして、それぞれの対処法を試してみましょう。

また、頭痛の症状がいつもと違う、あるいは激しい痛みを伴う場合は、決して自己判断せず、速やかに医療機関を受診することが大切です。
正しい知識と適切な対応で、頭痛に悩まされない快適な毎日を取り戻しましょう。