
「体重は落ちたのに、なぜか体脂肪率が上がった…」糖質制限ダイエットに挑戦したことのある人なら、こんな経験があるかもしれません。
手っ取り早く体重を減らせる糖質制限は魅力的ですが、実はダイエットにはあまりおススメできません。
健康を損ねてリバウンドしやすく、せっかく頑張っても体脂肪が思ったほど落ちないどころか、体脂肪率が高くなることさえあるからです。
では なぜ、こんなことが起こるのでしょうか。
体脂肪率の測定方法である「インピーダンス法」をひも解きながら、糖質制限ダイエットで体脂肪率が増えてしまう意外な理由を解説します。
インピーダンス法って何?体脂肪率測定の仕組み
私たちの身近にある体脂肪計のほとんどは、「インピーダンス法」という方法で体脂肪率を測っています。
これは、ごく微弱な電気を体内に流し、その電気抵抗を測定することで体脂肪率を割り出す仕組みです。
私たちの身体は、筋肉と脂肪で電気の通りやすさが大きく異なります。
筋肉:水分を多く含むため、電気を通しやすい
体脂肪:ほとんど水分を含まず、電気を通しにくい
この特性を利用し、電流の通りやすさを分析することで、筋肉量と体脂肪量の割合を推定しているのです。
家庭用の体脂肪計から、医療機関やスポーツ施設の専門機器まで、幅広く使われている測定方法ですが、実はこの測定結果、体内の水分量や体温に大きく左右され、常に正確とは限らないという点に注意が必要です。
体脂肪率は「体内の水分量」に大きく影響される

「水は電気を通さないのでは?」そう思う方もいるかもしれません。
純粋な水は電気を通しませんが、人体に含まれる水分はミネラルなどを含んでいますので、電気を通しやすい性質を持っています。
その為、体内の水分量が多いと、電気抵抗が下がり、結果として体脂肪率が実際よりも低く算出される傾向があります。
逆に、体内の水分量が少ないと電気抵抗が高まるので、体脂肪率が高く表示されてしまいます。具体的には、以下のような状態で体脂肪率は変動しやすいです。
脱水状態の時:体内の水分が減っているので、体脂肪率が高く表示される
水分補給をした後:体内の水分が増えるので、体脂肪率が低く測定される
運動で汗をかいた後:発汗により体内の水分が減るので、測定結果が変わりやすい
このように、体脂肪量が変化していなくても、体内の水分量の変動によって数値は簡単に変わってしまいます。
だからこそ、体脂肪率を測る際は、測定時のコンディションが非常に重要になるのです。
時間帯や体温も影響?朝は高く、お風呂上がりは低く出る理由
1日の間でも体内の水分量は常に変動しており、それに伴って体脂肪率も変わります。
特に分かりやすいのが、朝と入浴後ではないでしょうか。
朝の測定:体脂肪率が高く出やすい傾向にあります。夜寝ている間に汗をかいて体内の水分が失われている為、脱水状態に近いからです。
お風呂上がりの測定:体脂肪率が低く出やすいです。これは、単に水分補給をしたからという理由だけでなく、体温が高くなっていることも関係しています。体温が上昇すると、電気抵抗が低下し、電気が流れやすくなるので、体脂肪率が低く表示されることがあります。
体脂肪率を正確に比較したいなら、毎回同じ条件で測定することが大切です。
例えば、「毎朝起きてすぐ、トイレに行った後」など、できるだけ体内の水分量や体温が安定している時間帯に統一すると、より比較しやすいです。
糖質制限が体脂肪率を高く見せる意外なメカニズム

では、「糖質制限と体脂肪率」の関係についてです。
私たちが食事から摂る糖質は、体内で「グリコーゲン」として肝臓や筋肉に蓄えられます。
このグリコーゲンを蓄えるには、実は大量の水分が必要なのです。
その量は、グリコーゲン1gに対して約3倍もの水分が必要だと言われています。
つまり、体内のグリコーゲン量が減れば、それと一緒に貯蔵されていた水分も大きく減ってしまうということです。
糖質制限をすると、体内のグリコーゲンがエネルギーとして使われ、それに伴い体内の水分量も大きく減少します。
体内の水分量が減るということは、先ほど解説したように電気を通しにくくなるので、結果として体脂肪率が高く表示されやすくなるのです。
糖質制限で「体重が落ちた!」と喜んでも、実は落ちたのは体脂肪ではなく、この体内の水分だったというケースも少なくありません。
この現象が、体重が落ちても体脂肪率が高くなる原因です。
実際に糖質制限を経験した人の中には、「体脂肪率が高くなった」という人もいるのではないでしょうか。
それは、体脂肪が増えたわけではなく、ほとんどが水分の減少によるものだった可能性が高いです。
健康的なダイエットのポイントと糖質摂取の重要性
体内の水分量が減っている状態は、健康面から見ても、またリバウンドという観点からも良い状態とは言えません。
糖質は、私たちの体にとって重要なエネルギー源であり、必要な栄養素です。
極端な糖質制限を続けることは、健康リスクを高める可能性があります。
健康的なダイエットを進める上では、以下のポイントを意識することが重要です。
- 糖質は適量を摂取する
- 極端な制限ではなく、バランスの取れた食事を心がけましょう。
- 無理なく継続できる方法を選ぶ
- 短期的な過度な制限ではなく、長期的に続けられる食習慣や運動習慣を見つけることが大切です。
- 体脂肪率の数値に一喜一憂しない
- 体脂肪計の数値はあくまで目安です。
数値だけでなく、見た目の変化や体調、運動能力の向上など、多角的に自分の体を評価しましょう。
長期的な研究でも、糖質制限ダイエットとカロリー制限ダイエットの結果は大きく変わらないという報告もあります。
体脂肪率は、あくまでも「推定値」であり、実際の体脂肪量は解剖してみないと分かりません。
数値に振り回されすぎず、健康を最優先したダイエットを心がけましょう。
まとめ:体脂肪率の数字のトリックを見破り、賢くダイエットしよう
体脂肪率はインピーダンス法によって測定されますが、体内の水分量や体温に大きく影響され、数値が変動しやすいことを理解しておくことが大切です。
特に糖質制限ダイエットを行うと、体内のグリコーゲンと共に水分量が減少し、結果として体脂肪率が高く表示されることがあります。
「体脂肪率が増えた=体脂肪が増えた」とすぐに判断するのは誤解を招く可能性があります。
健康的なダイエットを進めるには、体脂肪率の数値だけにこだわるのではなく、食事内容や運動習慣を総合的に見直し、長期的な視点で取り組むことが重要です。
ご自身の体脂肪率の数字に一喜一憂せず、健康的な身体づくりを目指していきましょう!