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健康作りに役立つお役立ちコラム Ideal Body Design

マスク着用にエビデンスはあるの?

マスク



エビデンスレベルについて

新型コロナウイルスによりほとんどの人がマスクをしているかと思います。
海外では、強制されていたりもしているみたいですが、果たしてマスクは本当に科学的に見て効果があるのか論文から見てみようと思います。
新型コロナウイルスではなく同じ感染症であるインフルエンザに対しての論文になります。
インフルエンザもウイルスによる飛沫や接触による感染症なので参考になると思います。
また、多くの人が勘違いをしているかもしれませんが、ごく普通の一般的なマスクは、ウイルスの侵入を防ぐ物ではありません。
科学的根拠のことをエビデンスと言いますが、エビデンスには信頼度によって分けられています。
信頼度の高いエビデンスがあれば、有効と言えますが信頼度の低いエビデンスだと有効とは言えない状態です。

オックスフォード大学EBMセンターによるエビデンスレベル
 推奨度 エビデンスレベル  種類 
A 1a

1b 
ランダム化比較試験のシステマティックレビュー(メタアナリシス)

個々のランダム化比較試験(狭い信頼区間を伴う)
 B 2a

2b

3a

3b
コホート研究のシステマティックレビュー(メタアナリシス)

個々のコホート研究(非ランダム化比較試験を含む)

症例対照研究のシステマティックレビュー(メタアナリシス)

個々の症例対照研究
C  症例報告(質の悪いコホート研究、症例対照研究含む)
D 明確的な批判的吟味のない
または生理学や基礎実験に基づく専門家の意見 

推奨度Aが信頼度の高いエビデンス、推奨度Dが信頼度の低いエビデンスとなります。
専門家個人の意見は、推奨度Dで信頼度が最も低いエビデンスとなります。
エビデンスと言うのは臨床試験や疫学的調査による統計学的根拠のことです。
統計的な違いが偶然では説明ができないほど大きい時にその違いに統計的に有意であると言えます。
マスクをした人としなかった人の感染発症率を統計的に調べ統計的に有意であるか確認をします。

マスクの性能実験では意味がない

マスクの効果についてマスクの性能実験をしている映像を見たことがある人も多いと思います。
これは短期的な実験でマスク着用効果ではありません。
マスクの着用の効果は、長期的に日常生活の中で実際に効果があるのかどうか示す必要があります。
なのでマスクの性能実験では実は意味がありません。
例えばマスクでウイルスの侵入や飛沫を防げると言うだけでは、臨床の場で直接効果があるとは言えないのです。
理論的に正しいように見えても実際に実験してみたら違うと言うことは科学の世界では当たり前のように起こります。

ランダム化比較試験による検証が必要

マスクによる効果なのか断定する為にはランダム化比較試験での検証が必要です。
マスクを着用する群と非着用の群で比較をしないといけませんが、マスクを着用するかどうかを被験者に任せてしまうと、マスク以外の要因が結果に反映してしまいます。
例えば、マスクを着用する人は、普段から生活習慣に気を付けている、衛生意識が高く手洗いなどをしている可能性が高いと言うことです。これでは本当にマスクによる効果なのか断定ができません。
マスク以外の要因の偏りをできる限り省く為に、マスクを着用するのかどうか無作為に決めて比較する必要があります。
これがランダム化比較試験です。
一番信頼度の高いエビデンスとなります。
ランダム化比較試験による比較でなければ、偏りのない本当の比較ができません。
では、マスクのランダム化比較試験はあるのでしょうか。
論文はとても少なく、香港とシドニーによるランダム化比較試験があるようです。

ランダム化比較試験では有意性は見られなかった

ウイルスにおびえるイメージ

マスクのランダム化比較試験による検証は、香港とシドニーによる論文があります。
結論からするとマスク着用でも非着用でも感染発症率に差は見られませんでした。
このエビデンスからWHOはマスクに感染予防効果はほぼ意味がないとしているようです。
今回のコロナによりWHOも米国CDCもマスクの見解を変えましたが、ちゃんとした根拠があるわけではありません。WHOは根拠がないことを言っています。
推奨度Aのエビデンスはありませんが、推奨度Bエビデンスレベル2bのコホート研究でのエビデンスはあります。
これは観察研究なので他の様々な要因が考えられマスクによる効果なのかは分かりません。
SARSコロナウイルスに対して推奨度Bエビデンスレベル3aのエビデンスもありますが、これもマスクの効果なのかは分かりません。
信頼度の高い推奨度Aのランダム化比較試験による検証で有意性が認められなかったので、マスクはあまり意味がない可能性が高いと言えます。
手洗いに関しては、推奨度Aエビデンスレベル1bのランダム化比較試験のエビデンスがあります。
この為、感染症予防にはマスクよりも手洗いを推奨しているのです。

マスク過信は禁物、手洗いをした上で正しく着用することが大事

マスクはほぼ意味がないとしていても全く不要か、と言うわけでもありません。
ランダム化比較試験が失敗に終わったのは、被験者にマスクの徹底着用が難しかったとも考えられるからです。
マスクを正しく着用することができれば、ある程度の効果が期待できるとも考えられますが正直分かりません。
ただ正しく着用しても効果はかなり限定的になると考えられるので過度の過信は禁物です。
マスクよりもこまめに手洗いをすることが大事で手洗いをした上でマスクを着用しなければいけません。
手洗いをしなければマスクは無意味と言っても良いと思います。
一般的なマスク自体は、ウイルスの侵入を防ぐ物ではありません。
一般の人がマスクをする意味はあまりなく、症状がない人は基本的にいりません。
大きな飛沫を飛ばさないことが目的なので咳やくしゃみの症状がある人、体調の悪い人は必ず着用するようにしましょう。
飛沫に関しては、ある程度の距離を取ればリスクはほぼありません。
大きな飛沫は、直ぐに落下するので遠くまで飛びません。
マスクの優先順位は低いのでマスクをしてないからと言って白い目で見ないようにしましょう。


参照:マスク着用にインフルエンザ予防のエビデンスはあるのか?

更新日:2020年(令和2年)5月24日